ベヘロフカと春風

なんでもない夜に友達が好きな人の話をした。

よくありそうな空気の冴えきった冬の夜に
だいたい同い年くらいの友達は淡々と恋の話をした。
本当に好きでそれだけで幸せになって
生きている意味がわかったと思ったけれど、相手は別の人を選んだ。
そんな事実をおとついのことのように話した。


それからいかにして死ぬまでのカウントダウンを過ごすかを考えている。
そういう今の話を、淡々とした。


空気は夜につれてますます静かで肌を冷やす。
澄んだ風のないなんでもない夜に、かすかに春の気配がした。
きっとこんな時煙草を吸いたくなるんだろうと思ったから
煙草を一口もらった。
持ち方も吸い方もわからないけれど煙の味がした。
煙のにおいじゃなくて煙の味がしたと思ったところにびっくりした。
持ち方が葉巻みたいだと言われて
煙草はきらいだから吸う人の手元さえ見ていなかったのに気付いた。


そうやって生きているのに何かを失った状態でも
仕事をこなしたり電話をしたり自動販売機でお茶を買ったりしている。
遠くで犬の鳴いている声がする。

とても不仕合わせなことだと思いながら
それでもどこかでそれ以上の幸せはないと思った。
それだけ好きな人がこんなに広い世界から見つかって
短い時間だったかもしれないけれどちゃんと相手に向き合うことができたのだ。
自分に残ったものは刹那や哀しみだけだったかもしれないけれど
自分がそこにある意義を見出せるほど愛した人がいるなんて
幸せ以外の何者でもない。


今は先の事なんて考えなくていいから
そんな春がそこまで来ている2月の夜に
忘れられない人の話を聞いて
人生で初めて煙草を吸ったという記念すべき日を
覚えておこうと思った。
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by telephonelove | 2010-02-23 14:59 | day


NO MUSIC,NO LIFE


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